Existence *

「お前、美咲になんつった?」

「別れてって言ったの」

「は?」


もしかしたらそうなのかなって、思ってた。

リアか、誰か分かんねぇ奴に、何かを言われて俺から離れていったんじゃないかって。


「勘違いしないでよね。あっちからそう言わせたんだから」

「どゆこと?」

「どうしたらいいんですか?って聞かれたからそう言っただけ。悪くないでしょ、私…」

「いや、おかしいだろ、それ」

「って言うか、あの女も楓に対してそこまでの気持ちだったって事でしょ?」

「はい?」

「私だったら別れない。そんな簡単に別れるって事は楓の事が好きじゃなくなったって事でしょ?」

「お前、余計な事すんなや」

「……」

「美咲は何も関係ねぇだろうが!俺と美咲の間に勝手に入ってくんなや」

「そんな怒んないでよ。好きな人に怒られるのはいい気がしないから」

「いや普通に怒んだろうよ、まじで」

「じゃあより戻せばいいじゃない?」

「簡単に言うなよ」

「へぇー…簡単じゃないんだ。でも私の所為じゃないから。あの女が実行したんでしょ?あの女が自分で決めた事。私の所為にしないで」

「お前なぁ…」

「私はずっと楓が好きだった。でも楓は私にイチミリたりとも愛を示してくれなかった。ホストの世界で会えるのならそれでいいって思ってた。だから―――…」

「…―――はいはい、リア。もうその辺にしとけ」


不意にリアの声を遮った男の声で俺の視線が目の前に居るリアの背後に視線を送る。

隣に来て、リアの腕を掴んだその男にリアは小さくため息を吐き出した。


だれ?と思ったが、俺にはその男がどうでもよかった。

ただあの仁と言う男ではない。


貢いでくれる男はいっぱい居るらしい。

その内の一人か。


「こいつ、連れて帰るんで」


俺に向かってきたその視線。

俺は答えることなく、目の前の2人をジッと見つめた。


「もぉ、邪魔しないでよ…」

「こんな公の場で声張り上げんなって、ほら行くぞ」


グッとリアの手を引いた男は、俺に背を向けて歩き出す。

不満そうに表情を歪めたリアはその男に従うようにヒールの音を鳴らしながら歩いて行った。


多分、リアの事が好きだと言う男だろう――…