Existence *

その一時間後。

流星に行くと伝えて、俺は店から外れて待つ様にと言った。

店から少し離れた場所。

あまり人通りはないビルとビルの空間。

その使われていないビルに凭れかかる様にしているリアが目に入った。

ゆっくりと近づく俺にリアの視線が向く。

その瞳が俺を捉えた瞬間、リアは顔を顰めた。


「…なに言っちゃってくれてんの?」


俺を身構え、両腕を組んだリアは流星の言う通りご立腹だった。

誰がどう見てもオーラが放つリアは俺が一番初めて会った時の風貌のまま。


「なにが?」

「何がって、言った事も忘れちゃってんの?」

「俺は別にリアが怒るようなことは何も言ってない」

「結婚急かされたんだけど。それで楓の事、諦めろってさ。ねぇ、何話したの?困るんだけど、余計な事しないでよ」

「困る?…いや、それ俺じゃね?余計な事してんのお前だろ?」

「私が何したって言うのよ」

「お前、美咲になんつった?」

「あの女の名前、出さないでよ。別に余計な事なんてしてないわよ」

「は?お前がしたことは余計じゃなくて、俺がしたことは余計だって言うのかよ。お前さ、何がしたいわけ?」


リアを見つめると、俯いていたリアが視線をあげ、瞳がかち合った瞬間、リアはフッと小さく笑みを漏らした。


「私、楓にこんなに言われる筋合いないんだけど」

「はい?」

「あなたにどれだけ貢いだと思ってるの?まぁ、私の意思でやった事だけど、好きじゃなきゃここまで出来なかった」

「じゃあ、お前の望みはなに?俺に貢いだ分、お前に返せばいいのか?」

「約9年分って事かしら…」

「じゃあ返すわ」

「何で返してくれるの?」

「金だろ?お前が俺に払ってくれた金、返せばいいんだろ?」

「何言ってんの?お金なんていらないわよ」

「じゃあ、なんかあんのかよ」


そう言った俺にリアはクスリと笑って頬を緩めた。