Existence *

マンションに帰って、冷蔵庫へ向かう。

開けて、目の前にあるビールを思わず手にしてため息を吐き出した。

飲まないとやってらんねぇな。って言葉がまさに今それになる。


掴んでいたビールから手を離し、ペットボトルの水を掴んで、それを喉に流し込んだ。


誰にも邪魔などされたくなくて。

ただ1人になりたかった。

ここでの1人は病院での1人とはまた違う。


この領域が俺にとったら居心地が良かった。

どれくらい寝たのかも分からなかった。

昼前に目を覚まして、ただ何もしない時間が過ぎていく。

ソファーに身体を寝かし手に持つスマホの画面。

ニュースに埋もれるその画面に流星と浮かび上がった。


それと同時に奏でる音。

その音を耳にしながら俺は身体を起こした。


こいつとはあれ以来会ってはいない。


「…はい」

「お前、元気にしてんのかよ」

「元気じゃねぇよ」


そう言いながらスマホを肩に挟んで、俺はタバコを咥えて火をつけた。


「あぁ、そうかよ」

「つか何の用だよ」

「リアが呼んでる」

「は?」

「お前を呼べって、相当ご立腹だけど。お前何やらかしたん?」

「別に」

「別にっつーほどじゃねぇけど。今、開店前の店にいる。お前が来るまで帰らねぇっつってんだけど」

「……」

「店が開く前に来てもらわねぇと困る。お前、今家にいんだろ?実香子にさぁ、お前の外出の許可出してもらおうと電話したら、昨日から外出してるっつーから」

「……」

「あんなご立腹のリアここに置いとくわけにいかねぇだろ。従業員にも客にも迷惑」

「……」

「なぁ、聞いてんのかよお前。聞いてんのか聞いてねぇのかしんねぇけどよぉ、来いよお前」


一方的に切られた電話。

ただ俺はタバコを吸いながらずっと聞いていた。


と、言うことはあの男は俺の事をリアに話したと言うこと。

別にそれがいけない事ではない。

むしろ言ってくれて好都合だった。