Existence *

「…何?」

「…退院、いつ?」


はぁ?と思わせる美咲からの言葉。

電話にも出ねぇ、来いと言ったのにも関わらず、全く来なかったお前にそんな事言う筋合いねぇだろ。

お前はいったい、何がしたい?


「それ言ってどうにかなんの?」

「……」

「それ言ったら退院日に来るつもり?」

「……」

「だったら言わねぇけど」

「……」

「つか、別れてんのに何で俺の事気にしてんだよ」

「……」

「ほっとけよ、俺の事なんか」


まじで、ほっとけよ。

お前がいらねぇ事ばっかすっから、忘れられなくなる。

別れたいと言ったお前に、気にされる事でもない。

素っ気なく呟いた俺は掴まれていた美咲の手を離し、俺はリビングへと向かう。


だけど、

「…それはっ、違うでしょ!?」

美咲の声が俺の背後に飛んできた。


「それは違うでしょ?」


俺を追って、更に続けて美咲は言葉を吐き出す。

玄関まで辿り着き、俺は振り返った。


「違うって?」

「入院してたら普通気になるでしょ?」


じゃあ、なんでお前は俺から離れた?

答えはわかってる。

俺が悪いって。

俺の事で美咲を傷つけたって分かってる。


でも俺はずっと好きだった。

そう、今も――…


俺の気持ちを無視して離れて行ったのはお前の方。

そんな美咲に何も言うことなど、ない。


「美咲には関係ねぇから」


それだけ言い残し俺は玄関のドアを開け、美咲の顔を見る事なく扉を閉めた。

車に乗り込んで、深く息を吐き出す。


ちょっとは期待した。

美咲が俺を引き止めた時。

ごめん、もう一度やり直したい。って、言われるんじゃないかって、そんな馬鹿な淡い期待を抱いてしまった。


「んなこと、あいつが言うわけねぇか」


普段から俺に好きの言葉なんか言わねぇのに、そんな事言うはずもない。

だからこそわかった。

俺に対しての気持ちなど、美咲には全くないって事が。


もう、そこをいい様に捉えて、美咲の事を忘れるしかないと、そう思った。