「……純?」
先輩に呼ばれ、ハッとする。
仄暗い空気の膜が破れたみたいに、視界がクリアになる。
「純?ねーだいじょうぶ?ごめん……おれ、わがまま言いすぎた?」
不安気に眉を寄せながら、起き上がろうとする先輩。
その姿に
毒花が手折れる様子が重なった。
「な、なんでもないです。寝ていてください」
先輩の肩を押し、再度寝かせる。
すこし乱暴な手つきになってしまい
「んっ」と先輩は息を漏らした。
それでもわたしは胸に湧く焦燥感のせいで謝罪のひとつも述べられない。
ここから去りたかった。
このひとの毒にあてられる前に、去らなければいけないとおもった。



