君のためにこの詩(うた)を捧げる

「な、なんで学校に……?」



「撮影の準備期間。役作りで、一般の学校生活を体験してみたくて」



「そんな本格派!?」



「それに――澪がいるから、ちょうどいい」



「……は?」



「俺、演技の練習。恋愛ドラマなんだ。彼女役、やってもらおうかな」



その一言で、澪の顔は一瞬にして真っ赤になった。




七海がすかさず割り込む。



「まって! わたしも演技練習手伝います!!」



「じゃあ、澪と七海、両方で頼むよ」



「え、えぇ!?」



チャイムが鳴っても、心臓の音が止まらない。



教室の視線が全部、彼に向かう。



だけど――彼が時折、そっと澪の方にだけ視線を向けるのが分かる。


そのたびに胸がざわめく。



昨日までは、画面の向こうの人だったのに。
今は、隣の席で笑ってる。