君のためにこの詩(うた)を捧げる

「ええええっ!?」


「ほんもの!?」


「信じられない!!」



悲鳴と歓声が入り混じる中、澪は一瞬、息が止まった。

彼は、昨日と同じ穏やかな笑顔でこちらを見ている。


けれど、その目の奥には“わざと”の悪戯な光。


(ひかる……)


輝は担任に耳打ちされながら、空いている席を探すふりをした。



「じゃあ、橘は――結城の隣に座れ」



「えっ!?」



「よろしくな、澪」



にやり、と小声で笑う輝。



近い。距離が近すぎる。



七海が小声で


「嘘でしょ!? 澪の隣とか運命じゃん!!」


と興奮している。


澪は机の上の教科書を見つめながら、必死に平常心を保った。