君のためにこの詩(うた)を捧げる


翌朝。教室に入ると、どこか落ち着かないざわめきが広がっていた。




「なんか、転校生くるらしいよ」



「え、今の時期に?」



七海が机に身を乗り出す。



「まさか、撮影で来てたあの人とかじゃ――」



「ないない!」


と澪は笑い飛ばした。



(……そんな偶然、あるわけないよね)



だが、次の瞬間。



「転校生を紹介します」



担任の声に続いて、教室のドアが開く。



静まり返る空気。



そして――




「橘 輝です。今日からしばらく、お世話になります」


教室が、爆発した。