君のためにこの詩(うた)を捧げる

残された澪は、七海の腕をぎゅっと掴む。


「な、なに今の!? 幼なじみっていうか、再会シーンじゃん!?」


「う、うるさいってば……!」



けれど、胸の奥ではずっと鳴りやまない。
懐かしくて、くすぐったくて、少し切ない――“初恋の鼓動”。



あの日の約束。



「大人になっても、俺のこと見ててよ」



その言葉が、記憶の奥で静かに灯る。




SNSでは《橘輝、地元高校でロケ!》がトレンド入り。
だけど誰も知らない。
スポットライトの向こうで、
彼が“ただの幼なじみ”を見つけたことを。