君のためにこの詩(うた)を捧げる

「好きって言葉は、
言えば叶う魔法じゃなくて、
傷ついても信じたい“祈り”なんだ。」



朝の光が淡く差し込む教室。



いつもより少し静かで、
誰かの席が空いていた。


「……朝倉くん、今日休み?」



澪が小声でつぶやく。



でも、担任は淡々と告げた。


「朝倉は転校した。家庭の都合で、昨日手続きが済んでいる。」


その瞬間、
澪の胸が小さく軋んだ。


(転校……? 何も言わずに?)



ノートの上に、
ぽつんと一滴、涙が落ちた。