君のためにこの詩(うた)を捧げる

翌朝。



澪のクラスでは、いつも通りに授業が始まっていた。



でも、空気が違う。



昨日の“キス事件”が、もう噂になっていた。


「え、マジ? 結城と朝倉が――?」



「でも、あの子って橘輝の彼女だったんでしょ?」



「どっちなのよ〜」


澪は小さく俯いた。



湊はその隣で何も言わず、ただノートを開いている。



けれど、彼の目の下には眠れなかった跡。



澪の心が痛んだ。


(湊くんだって、苦しんでるのに……)