夕暮れが落ちきる前のグラウンド。
校舎の影が長く伸び、風が冷たくなり始める。
澪は、湊に呼び出されていた。
「話したいことがある」
そうメッセージが届いたのは、放課後すぐ。
いつもの穏やかな彼の文面とは違って、どこか震えていた。
「……ごめん、急に呼び出して」
夕陽に照らされた湊の横顔は、どこか迷っているようだった。
「ううん。どうしたの?」
一瞬、風が止まる。
湊はポケットからスマホを取り出し、 画面に映る“七海とのメッセージ”を見せた。
【澪と仲良くなって、橘輝を刺激して】
その一文に、澪は息を呑む。
「最初は、これが目的だった。 七海さんに頼まれて……君に近づいた」
「……嘘でしょ」
目が揺れる。
信じていた。
優しくて、真っ直ぐで、 ひかるがいない間、支えてくれた人だったのに。
湊は唇を噛み、拳を強く握った。
「でも、途中で変わった。 君と話してるうちに、 君の笑い方とか、泣きそうな顔とか……全部、本気で好きになった」
「やめて……そんなの、今言われても……」
澪は震える声で言った。
「私、利用されてたんだよね? 信じてたのに……」
「違う。最初はそうでも、今は本当に――」
言葉を遮るように、湊は一歩踏み出した。
彼の瞳が、苦しそうに揺れている。
「君を守りたいって思ってる。 嘘じゃなく、本気で。 ……もう、止められないんだ」
そして、 彼はそっと澪の頬に手を添え、 迷うように、震える唇を寄せた。
ほんの一瞬――触れるだけのキス。
風の音がすべてを包み込み、世界が止まった。
澪は瞳を見開いたまま動けなかった。
(どうして……涙が出るの……)
校舎の影が長く伸び、風が冷たくなり始める。
澪は、湊に呼び出されていた。
「話したいことがある」
そうメッセージが届いたのは、放課後すぐ。
いつもの穏やかな彼の文面とは違って、どこか震えていた。
「……ごめん、急に呼び出して」
夕陽に照らされた湊の横顔は、どこか迷っているようだった。
「ううん。どうしたの?」
一瞬、風が止まる。
湊はポケットからスマホを取り出し、 画面に映る“七海とのメッセージ”を見せた。
【澪と仲良くなって、橘輝を刺激して】
その一文に、澪は息を呑む。
「最初は、これが目的だった。 七海さんに頼まれて……君に近づいた」
「……嘘でしょ」
目が揺れる。
信じていた。
優しくて、真っ直ぐで、 ひかるがいない間、支えてくれた人だったのに。
湊は唇を噛み、拳を強く握った。
「でも、途中で変わった。 君と話してるうちに、 君の笑い方とか、泣きそうな顔とか……全部、本気で好きになった」
「やめて……そんなの、今言われても……」
澪は震える声で言った。
「私、利用されてたんだよね? 信じてたのに……」
「違う。最初はそうでも、今は本当に――」
言葉を遮るように、湊は一歩踏み出した。
彼の瞳が、苦しそうに揺れている。
「君を守りたいって思ってる。 嘘じゃなく、本気で。 ……もう、止められないんだ」
そして、 彼はそっと澪の頬に手を添え、 迷うように、震える唇を寄せた。
ほんの一瞬――触れるだけのキス。
風の音がすべてを包み込み、世界が止まった。
澪は瞳を見開いたまま動けなかった。
(どうして……涙が出るの……)



