君のためにこの詩(うた)を捧げる

夜。


SNSのタイムラインに《橘輝、転校生説!?》の文字が流れる。



写真の一枚に、ぼんやりと映り込む“後ろ姿の少女”。



澪はスマホをそっと伏せた。



「……秘密、守れるかな」



胸の奥に残るのは、あの時の約束のぬくもり。



でも、それ以上に――
橘輝を“誰にも渡したくない”という、
自分でも知らなかった想いだった。