君のためにこの詩(うた)を捧げる

翌日。



朝の教室は、まるでライブ会場だった。



「橘くん、今日もかっこよすぎ!」



「笑った顔やばくない!?」



「次の休み時間、写真お願いしよ!」



昨日転校してきたばかりの橘輝は、すでに学校中の人気者だった。



教室の中心にいる彼の周りには、いつも誰かがいて、笑い声が絶えない。



そんな中――澪は、少しだけ距離を取って席に座っていた。



(当たり前だよね。彼は“橘輝”なんだから)



昨日、あんなに近くで笑ってくれたことが夢みたいで。



「俺のこと、見てて」
なんて言われたあの言葉も、
まるで幻だったように感じていた。