きみの春に、溶けていく -プロローグ-

『朔へ

初めて出会った日のこと、覚えてる?
私のこと、まるで雪みたいっていってくれたよね。
すごく嬉しかった。

この街では、雪が降るのは当たり前だから。
朔の心が私のことを、静かにそっと隣に置いてくれる気がした。
それだけでもう一生分幸せで、恋をしたと思う。
十分だったから。
こういう風になったこと、何があっても自分を責めないで。
朔には何にも縛られずに自由に生きていて欲しい。

この雪のように、いつかは悲しみも溶けて春になっていくよ。

でももし私がちゃんと普通になれたなら、今度は普通の女の子として、朔のそばにいたい。
全部忘れてしまっても、また一から始めていきたい。

灯より』