柱:春・高校の登校坂/朝
ト書き:
桜が舞う朝の坂道。制服のスカートを押さえながら歩く瑠衣(るい)。
少し遠くを見つめ、幼い頃の記憶を思い出す。

瑠衣(モノローグ)
「──あの頃は、ずっと隣にいた。笑い方も、筆圧も、全部知ってた。」

ト書き:
中学時代の回想。
隣の席で照れくさそうにノートを差し出す颯真(そうま)。
少し冴えないけれど、目だけは真っ直ぐな少年。

瑠衣「ねぇ、ノート貸して?」

颯真「あ、うん……字、汚いけど」

瑠衣「ありがと。そういうとこ、好きかも」


柱:高校・教室/昼

ト書き:
友人たちの話し声。新学期初日のざわめき。

友人A「ねぇ見て!転校生、超イケメン!」

友人B「喧嘩強いって噂あるよ、怖いけどカッコイイ!」

ト書き:
黒髪を無造作にかき上げる颯真の姿。
その目が瑠衣を見つけ、ゆっくりと笑う。

颯真「久しぶりだな、瑠衣。」

瑠衣(息をのむ)「……颯真、なの?」

颯真(小さく笑い)「そんな顔すんなよ。ちょっと変わっただけだ。」