放課後の教室は、夕陽の光で淡く染まっていた。
窓の外では、風に散る桜の花びらがきらきらと舞っている。
今日は朝からずっと胸が落ち着かなかった。
笑うたびに、誰かの顔が重なって、 ふとした瞬間に“知らない記憶”が心の奥で疼く。
ノートを閉じたとき、後ろの席で椅子の音がした。
振り向くと、柊くんが立っていた。
「水瀬さん」
その声を聞いただけで、胸が少し震えた。
懐かしいような、切ないような響き。
「ねぇ、私たち……どこかで会ったこと、ある?」
口にした瞬間、自分でも驚いた。
でも、言わずにはいられなかった。
どうしても確かめたかった。
柊くんは一瞬、息を呑んだように見えた。
そして、目を伏せて小さく首を振る。
「……初めてだよ。たぶん」
“たぶん”——その言い方が、優しくて苦しかった。
沈黙が流れる。
教室の時計の針が、コツコツと音を立てて進む。
「でもね、不思議なの。今日ずっと……」
私は机の上の花びらを指で転がしながら言った。
「同じ景色を二度見てる気がするの。 たとえば、この光とか、風の匂いとか…… 柊くんがここに立ってる感じとか」
彼の瞳が、微かに揺れた。
そして、
「……覚えてるのかもしれない」
と、ほとんど聞こえない声で呟いた。
「え?」
「いや、なんでもない」
そう言って、彼は視線を外す。
その横顔が、どこまでも遠くて、 でもなぜか、とても懐かしかった。
――この人を、私は前にも失った。 そんな気がした。
窓の外では、風に散る桜の花びらがきらきらと舞っている。
今日は朝からずっと胸が落ち着かなかった。
笑うたびに、誰かの顔が重なって、 ふとした瞬間に“知らない記憶”が心の奥で疼く。
ノートを閉じたとき、後ろの席で椅子の音がした。
振り向くと、柊くんが立っていた。
「水瀬さん」
その声を聞いただけで、胸が少し震えた。
懐かしいような、切ないような響き。
「ねぇ、私たち……どこかで会ったこと、ある?」
口にした瞬間、自分でも驚いた。
でも、言わずにはいられなかった。
どうしても確かめたかった。
柊くんは一瞬、息を呑んだように見えた。
そして、目を伏せて小さく首を振る。
「……初めてだよ。たぶん」
“たぶん”——その言い方が、優しくて苦しかった。
沈黙が流れる。
教室の時計の針が、コツコツと音を立てて進む。
「でもね、不思議なの。今日ずっと……」
私は机の上の花びらを指で転がしながら言った。
「同じ景色を二度見てる気がするの。 たとえば、この光とか、風の匂いとか…… 柊くんがここに立ってる感じとか」
彼の瞳が、微かに揺れた。
そして、
「……覚えてるのかもしれない」
と、ほとんど聞こえない声で呟いた。
「え?」
「いや、なんでもない」
そう言って、彼は視線を外す。
その横顔が、どこまでも遠くて、 でもなぜか、とても懐かしかった。
――この人を、私は前にも失った。 そんな気がした。



