——その朝、目を覚ました瞬間、私は デジャヴを感じた。


カーテンの隙間から差し込む光も、
机の上に置きっぱなしの国語ノートも、
どこかで何度も見たような気がする。

胸の奥が、理由もなくざわめいた。

「……また、この日?」

口にした言葉に、自分でも驚く。

“また”って、どういう意味だろう。

昨日の記憶と、今日の朝が少しだけ重なっている気がした。


制服の袖を通すと、
外から風が吹き抜けて、桜の花びらが一枚、部屋の中に舞い込んだ。


それはまるで、
“時間”の方が私に追いつこうとしているようだった。


――そして、その日のホームルームで、

「今日からこのクラスに転校してきた、柊蓮くんです」

担任の声がした。

顔を上げた瞬間、
知らないはずのその少年を、
私はなぜか“知っている”と思った。