「さぁ、今のうちに早く行ってください」
田中がキヨに資料を押し付けてくる。

キヨはそれを両手で受け取った。
どんな格好でもこれさえあればどうにかなる。
まずは脱出することだ。
キヨは田中を見つめて大きく頷くと長い廊下を駆け出した。
屋敷から飛び出す瞬間、トミがキヨを呼ぶ声が聞こえてきた気がしたけれど振り返らなかった。