座敷牢令嬢は今日も謎を解く

『キヨ様にはなんの罪もありません。そんな方を座敷牢に入れるなど人間のすることではありません』
田中が何を言おうと家人たちは取り合わなかった。
次第に計画に反対する田中を疎ましく感じ始めていたのだ。
『田中、今日の仕事にはついてこなくていい』

『しかし――』
『いいと言っているだろう!』 
大旦那様と田中の間にあった、仕事を超えた信頼関係はあっさりと崩れ去った。
田中は大旦那様から直々に仕事を命じられることがなくなり、ただの使用人と同じような扱いを受けるようになった。

ひとりだけ燕尾服を着て雑用をこなす田中は他の使用人たちから見れば異質な存在で、すぐに話し相手すらいなくなってしまった。