キヨは大股で離れの廊下を歩いていく。
最近はずっとトミが掃除してくれていたおかげなのか、来たときのようなホコリは見当たらなかった。
キヨがここに幽閉されていることで少しはやる気を出していたみたいだ。
そんなトミの姿はここにはなかった。

キヨの助けになれないとわかって、どこかへ逃げてしまったみたいだ。
誰もいない離れから出て渡り廊下を歩いていると、ふと自分の体が臭うことに気がついた。
右手首に鼻を近づけてみると、着物が臭っていることがわかった。
そういえばこれを着せられてから1度も洗濯していない。