座敷牢令嬢は今日も謎を解く

運良く降りることができれば、どうにか脱出できるかもしれないけれど……。
キヨは蓋を開けて廁の中を覗き込んでみた。
おぞましい臭いが這い上がってきて口元を押さえる。

軒下にも換気はなく、少し吸い込んだだけで吐き気がするようなおぞましい臭いがしている。
ダメだ。

この中に入っていくなんてできっこない。
キヨが蓋を締め直して部屋の中央へ戻ってきたとき、ドタドタと足音が聞こえてきてトミが飛び込んできた。
その慌てっぷりは今まで以上で、額の汗のせいで前髪がベッタリと張り付いている。
「トミ、どうしたの?」
いつもどおりの質問なのにトミは慌ててしまって「あうあう」と要領の得ない言葉を繰り返す。