座敷牢令嬢は今日も謎を解く

「わたくしの役目はほぼ終わりました。あとはおまかせします」
田中はそういうとキヨに優しく微笑みかけた。
冷たい表情が嘘のように溶けて柔らかくなっていく。
「あなたはどこへ行くの?」

思わず田中の腕を掴んでそう訊ねていた。
田中の体は燕尾服の上からでも信じられないほど冷たい。
「わたくしは元の場所へ戻ります。それでは、また」
田中はそれだけ告げると空間に溶けるようにして消えていったのだった。