座敷牢令嬢は今日も謎を解く

「田中さん? 聞いたことがありませんね」
「この屋敷では珍しく洋服を着ているのだけれど、見たことない?」
「洋服は大旦那様は大奥様が時々着られるくらいで、わたしたち使用人は着用していませんよ?」

別の人と勘違いしているのではないかと、トミの顔に疑念が浮かぶ。
でも勘違いなどするはずがない。
キヨはここから出ることができなくて、他の人と会う機会などないのだから。
頭の片隅で考えていたことが現実味を増していて。キヨはゴクリと唾を飲み込んだ。

ボロ布を整えてトミへ視線を送る。
「ここへ来たときに言っていたわよね? 男の幽霊が出るって」
それはおしゃべり好きなトミが最初に教えてくれた噂話だった。