カーテンから日差しが微かに差し込み、私の目元に光が当たる。
疲れが残っている重い体を起こし、枕元に充電してあるスマホを手当たり次第探す。
スマホを手に取り、現在の時刻を確認、溜まっている通知を眩しそうに眺める。
「ん、んー。」
隣からゴソゴソと動く彼を無視しながら、私はスマホで今日のスケジュールを確認した。
「菜穂、おーはよ。」
そう言いながら、私の膝の上に顔をうずめる彼。
「おはよ、隼人くん。…私もう、学校行くわ。」
私は膝にうずめる彼を容赦無しにベットから出る。
「えぇー、菜穂もう行っちゃのー。」
何を期待していたのだろう、彼は少し物足りなさそうな顔をして私を見る。
「うん、今日ゼミなの。休めないし。」
私は彼の部屋に散らかった私の抜け殻をかき集め、着て、忘れ物がないかチェックする。
正直にいうとこのまま学校に行かない、どうしてもこの部屋から出たかった。
彼の匂いが私の体に浸食してくるのがどうしても許せなかったからだ。
「菜穂ってそんな真面目だったの。次はいつ会える？」
横目を見ると、また期待している顔で上半身裸で起きている彼。
「暇なとき、ね。」
私はそう言いこの部屋から出た。
部屋の扉を閉めるとき「いってらっしゃーい。」と彼の声が聞こえたが、私は返事をしなく、そのままイヤフォンをした。

現在の時間は朝９時前。
大学は11時過ぎからだから、このまま自分の家に帰ってお風呂に入って学校に行く準備をする。
「…疲れた。」
私はボソッと呟き、バス停でバスを待った。

10月の上旬、あんなにジリジリと暑かった夏がガラっと寒くなった。
冷たい秋から冬に変わる風が私の頬をかすめる。