過去にはもう、戻れない。
今の自分はクロエなのだ。
そんなことをとりとめなく考えていたクロエは、ふと足を止めた。
「エーリヒ、待って。何か嫌な気配がする」
クロエがそう言った途端、エーリヒは剣を抜いた。
そして油断なく、周囲を警戒している。
クロエも同じように視線を巡らせていたが、いつの間にか道の向こう側に、大型の猿の姿をした魔物がいることに気が付いた。
「正面よ!」
その言葉に素早く対応したエーリヒだったが、躊躇ったようにクロエを見る。
「俺には、何も見えない」
「えっ」
どうやら気配も感じないらしい。
見間違えたのかと思ったが、クロエの目に映る魔物は、かなりの敵意をこちらに向けている。
「クロエ、場所を教えてくれ」
彼には姿も見えないし、気配も感じないというのに、エーリヒはそう言って剣を構え直した。
「うん、わかった」
エーリヒに見えないのなら、自分が目になればいい。
ふたりに防御魔法をかけているので、魔物に反撃されても怪我をすることはないだろう。
「大きさは、エーリヒよりも少し大きい。横幅は倍くらい。こちらの様子を伺っているわ。場所は、あの折れた枝のすぐ隣よ」
魔物はきっと、隙を狙っているのだろう。
けれどエーリヒは油断なく剣を構えていて、なかなか襲いかかれないようだ。
「まだ動きそうにない」
「ならば、こちらから行くか」
エーリヒが剣を構え直す。
それを見たクロエは、魔法でエーリヒのスピードとパワーを強化する。
「少し動いた。手前の白い花の隣!」
クロエがそう叫んだ途端、エーリヒが切り込む。
今の自分はクロエなのだ。
そんなことをとりとめなく考えていたクロエは、ふと足を止めた。
「エーリヒ、待って。何か嫌な気配がする」
クロエがそう言った途端、エーリヒは剣を抜いた。
そして油断なく、周囲を警戒している。
クロエも同じように視線を巡らせていたが、いつの間にか道の向こう側に、大型の猿の姿をした魔物がいることに気が付いた。
「正面よ!」
その言葉に素早く対応したエーリヒだったが、躊躇ったようにクロエを見る。
「俺には、何も見えない」
「えっ」
どうやら気配も感じないらしい。
見間違えたのかと思ったが、クロエの目に映る魔物は、かなりの敵意をこちらに向けている。
「クロエ、場所を教えてくれ」
彼には姿も見えないし、気配も感じないというのに、エーリヒはそう言って剣を構え直した。
「うん、わかった」
エーリヒに見えないのなら、自分が目になればいい。
ふたりに防御魔法をかけているので、魔物に反撃されても怪我をすることはないだろう。
「大きさは、エーリヒよりも少し大きい。横幅は倍くらい。こちらの様子を伺っているわ。場所は、あの折れた枝のすぐ隣よ」
魔物はきっと、隙を狙っているのだろう。
けれどエーリヒは油断なく剣を構えていて、なかなか襲いかかれないようだ。
「まだ動きそうにない」
「ならば、こちらから行くか」
エーリヒが剣を構え直す。
それを見たクロエは、魔法でエーリヒのスピードとパワーを強化する。
「少し動いた。手前の白い花の隣!」
クロエがそう叫んだ途端、エーリヒが切り込む。


