婚約破棄されたので、好きにすることにした。王城編

 魔物図鑑によると、パワーはもちろん、見た目よりもスピードがあるので、かなり厄介な魔物だ。それなのに今回の魔物は、さらに姿を消すという特殊能力を身に付けている。
「これってもう、指名依頼よりも特別依頼では?」
 普通の魔物退治よりも、難易度は高いのではないか。
 そう言うと、エーリヒも頷いた。
「たしかにそうだ。だが、名を上げるには指名依頼が一番だ。俺たちは、国籍獲得を目指しているわけではないからな」
「うん」
 そういうことかと、クロエは納得して頷いた。
 特別依頼の達成は、ギルド内や貴族の中での評価を上げる。それは、王都の城門を破壊して逃亡した凶悪犯を捕縛することで、達成されている。
 だから今度は指名依頼をいくつも果たし、エーリヒの名前をもっと国内に広めなくてはならない。
「でも、無理はしないでね」
「もちろんだ。クロエの魔法があれば、誰にも負ける気がしない」
 エーリヒにそう言ってもらえて、嬉しかった。
「うん。サポートなら任せて」
 攻撃魔法で役に立つことはできなかったけれど、補助魔法や防御魔法でエーリヒを助けることができる。
(ああ、今回も最初からエーリヒに、防御魔法を使っておけばいいのかも)
 物理と魔法、両方の攻撃を無効にする魔法をかけておけば、魔物がどんな攻撃を仕掛けてきても、きっと大丈夫だろう。
 その魔物は町から少し離れた場所に出るらしく、早朝には出発しなければならない。
 だから今日は、早めに休むことにした。
 同じベッドで眠るのも、すっかり慣れてしまった。むしろ、すぐ隣にエーリヒがいると落ち着く。
「おやすみ、クロエ」
「うん、おやすみなさい」