一緒に感情的になってはいけないと、ゆっくりと言葉を選びながら、事実のみを伝える。
「あなたが信じているサージェは、自分勝手な思い込みで、魔法で人を攻撃した。さらにギルドを半壊させて王都から逃げ出した指名手配犯。私たちは、そんな彼を捕縛するために『特別依頼』を受けたのよ」
恋人などではなく、むしろ彼を追う側だ。
そう説明すると、扉がドンと叩かれる。
「嘘よ。サージェさんがそんなことをするはずがない。安全なところに隠れて悪口を言うなんて、卑怯よ」
「……」
クロエは溜息をついた。
話が通じない相手には、何を言っても無駄である。何とか説得しようと言葉を尽くしても、きっと自分の良いように解釈して、まったく理解してくれない。
そう悟ったクロエは、扉から離れて部屋の中心に戻った。
きっとそのうち、エーリヒが戻ってきてくれる。これ以上余計なことは言わずに、それを待とう。
しばらく扉を叩く音が聞こえていたが、クロエは気にしないことにした。
(ああ、でも。宿に迷惑を掛けてしまうわね)
朝から部屋を借りたので、周辺の部屋はまだ客が入っていなかったはずだ。だから騒音で迷惑をかけていないとは思うが、それでも念のため、防音の魔法を掛けておく。
これで扉を叩く音も叫び声も、本人以外には聞こえない。
エーリヒが戻ってきたら、もう一度話をしてみよう。
そう思っていると、突然少年らしき声が聞こえてきた。
「姉さん! こんなところで何をしているの!」
「えっ、トリーア? どうしてここに……」
少年の声は、その声の高さから察せられる幼さに不釣り合いなほど、厳しいものだった。
「あなたが信じているサージェは、自分勝手な思い込みで、魔法で人を攻撃した。さらにギルドを半壊させて王都から逃げ出した指名手配犯。私たちは、そんな彼を捕縛するために『特別依頼』を受けたのよ」
恋人などではなく、むしろ彼を追う側だ。
そう説明すると、扉がドンと叩かれる。
「嘘よ。サージェさんがそんなことをするはずがない。安全なところに隠れて悪口を言うなんて、卑怯よ」
「……」
クロエは溜息をついた。
話が通じない相手には、何を言っても無駄である。何とか説得しようと言葉を尽くしても、きっと自分の良いように解釈して、まったく理解してくれない。
そう悟ったクロエは、扉から離れて部屋の中心に戻った。
きっとそのうち、エーリヒが戻ってきてくれる。これ以上余計なことは言わずに、それを待とう。
しばらく扉を叩く音が聞こえていたが、クロエは気にしないことにした。
(ああ、でも。宿に迷惑を掛けてしまうわね)
朝から部屋を借りたので、周辺の部屋はまだ客が入っていなかったはずだ。だから騒音で迷惑をかけていないとは思うが、それでも念のため、防音の魔法を掛けておく。
これで扉を叩く音も叫び声も、本人以外には聞こえない。
エーリヒが戻ってきたら、もう一度話をしてみよう。
そう思っていると、突然少年らしき声が聞こえてきた。
「姉さん! こんなところで何をしているの!」
「えっ、トリーア? どうしてここに……」
少年の声は、その声の高さから察せられる幼さに不釣り合いなほど、厳しいものだった。


