婚約破棄されたので、好きにすることにした。王城編

 クロエよりも強い魔力の持ち主には効かないかもしれないが、魔女のクロエの魔法は、魔導師を遙かに凌駕している。サージェが相手なら問題ないだろう。
 それから、数日。
 クロエは毎朝、魔法を掛けてエーリヒを送り出していた。
 昼までに戻らないことも多いので、お弁当を作るときもある。渡すと嬉しそうな顔をしてくれるので、作りがいがあった。
 持っている本はあらかた読み尽くしてしまったので、最近はアイテムボックスに大量に入っている水晶で、魔石作りを再開している。
 毎日のようにエーリヒに魔法を掛けているせいで、以前よりも魔力の調整が上手くなり、水晶を割ってしまうこともなくなった。
 心なしか、魔力量も増えてきたような気がする。
 しかも、魔力の回復が早くなった。
 使えば使うほど、魔力が増える。
 そう思うと少し怖い気もするが、魔力が増えれば、その分エーリヒを手助けできる。そう思うと、魔石作りにも精が出た。
(アリーシャさんもきっと、こんな気持ちで魔法を学んだのかな)
 エーリヒを想う気持ちが、力になる。
 だから、とっさに生み出した補助魔法は自分に向いていると思う。
 この日も町を探索していたエーリヒは、とうとうサージェの居場所を探し出したらしい。
 北の町に来てからまだ数日だが、ギルド側で、サージェの居場所をだいたい特定してくれていたので、それほど苦労しなかったようだ。
 今回はとくに移民が大勢で移動していたので、とても目立っていた。
 中には女性や子どももいるらしい。
 サージェは、自分を匿ったせいで彼女たちが危険に晒されると考えなかったのだろうか。