エーリヒはそう言うと、不快そうに目を細める。
「また?」
「ああ、まただ」
物事を自分の都合の良い方向にしか考えられない男だったが、取り返しのつかない犯罪をしてしまっても、そこは変わらないらしい。
「……聞きたくないけれど、どんな話?」
何となく、自分も関係がある気がする。
そう思って怖々尋ねると、エーリヒは深い溜息をついた。
「クロエには聞かせたくない」
「私も聞きたくない。でも、何も知らないのも怖いから」
「わかった」
エーリヒはしばらく躊躇ったあと、ようやく話を聞かせてくれた。
「魔石を作れる魔導師で、貴族に虐げられて苦労したけれど、自力で国籍を獲得し、ギルドの正職員になることができた」
「……うん」
そこまでは、多分本当の話だろう。
クロエは頷いた。
「そして、同じ移民の恋人がいた」
「う、うん?」
恋人がいたなんて、聞いたことがない。
何となく嫌な予感はしたけれど、最後まで話を聞いてみようと思い直す。
「その恋人も移民で、魔導師だった」
「……」
嫌な予感が的中したことを悟り、クロエは俯いた。
「それで?」
「その恋人も貴族に奪われてしまい、奪還しようとしたが叶わず、逃亡した。激怒した貴族によって国籍も職も失ってしまった、と」
よくそこまで事実無根な嘘を言えるものだと、クロエは怒りを通り越して恐怖さえ覚える。
「同行者を騙すためかもしれないが、勝手にクロエの恋人を名乗るなど……」
たしか手配書には、生死問わず、と書いてあったな。
そう呟くエーリヒの姿に、クロエは慌てる。
「また?」
「ああ、まただ」
物事を自分の都合の良い方向にしか考えられない男だったが、取り返しのつかない犯罪をしてしまっても、そこは変わらないらしい。
「……聞きたくないけれど、どんな話?」
何となく、自分も関係がある気がする。
そう思って怖々尋ねると、エーリヒは深い溜息をついた。
「クロエには聞かせたくない」
「私も聞きたくない。でも、何も知らないのも怖いから」
「わかった」
エーリヒはしばらく躊躇ったあと、ようやく話を聞かせてくれた。
「魔石を作れる魔導師で、貴族に虐げられて苦労したけれど、自力で国籍を獲得し、ギルドの正職員になることができた」
「……うん」
そこまでは、多分本当の話だろう。
クロエは頷いた。
「そして、同じ移民の恋人がいた」
「う、うん?」
恋人がいたなんて、聞いたことがない。
何となく嫌な予感はしたけれど、最後まで話を聞いてみようと思い直す。
「その恋人も移民で、魔導師だった」
「……」
嫌な予感が的中したことを悟り、クロエは俯いた。
「それで?」
「その恋人も貴族に奪われてしまい、奪還しようとしたが叶わず、逃亡した。激怒した貴族によって国籍も職も失ってしまった、と」
よくそこまで事実無根な嘘を言えるものだと、クロエは怒りを通り越して恐怖さえ覚える。
「同行者を騙すためかもしれないが、勝手にクロエの恋人を名乗るなど……」
たしか手配書には、生死問わず、と書いてあったな。
そう呟くエーリヒの姿に、クロエは慌てる。


