婚約破棄されたので、好きにすることにした。王城編

 強い冒険者なら国籍を取得しているだろうし、それならば人が集まる王都を拠点とすることが多い。
 だからずっと滞在するわけではないとはいえ、エーリヒのような存在は貴重なのだろう。
 エーリヒにとっても、名を上げるチャンスである。
「全部、魔物退治?」
「ああ。単独だと少し厄介な魔物もいたが、クロエが助けてくれるなら、引き受けられると思う」
「うん。任せて」
 頼りにされたことが嬉しくて、クロエは大きく頷いた。
 魔導師と魔術師が使うのは、攻撃魔法と治癒魔法だけのようで、補助魔法は魔女であるクロエしか使えない。
 もともと魔法図鑑に記載されていないのだから、この世界には存在していない魔法なのかもしれない。
 もともと高い能力を持つエーリヒを、さらに魔法で強化することができれば、魔物との戦いは格別に楽になるだろう。

 それから何度か、エーリヒと一緒に魔物退治に向かった。
 エーリヒに補助魔法を掛けると、魔物を倒すスピードが上がるのが、はっきりとがわかる。
 それでも魔物のほうが速いときは、足止めの魔法を掛けた。
 硬い魔物のときは、力を増幅させる。
 こうしてエーリヒはどんな魔物退治でも引き受け、すべて成功させた。
 その目立った容貌も相まって、エーリヒの名声は日に日に高まっている。
 いつも同行しているクロエのことも話題になっていると、エーリヒが教えてくれた。
「私のことも?」
「ああ。いつも討伐成功しているのは、魔法を使える者が同行しているからだと言われていた」
「そんなの……」
 その噂には、少し悪意を感じる。