婚約破棄されたので、好きにすることにした。王城編

「うん。私の魔法は、願いがもとになる。エーリヒを助けたいと願う気持ちは、誰にも負けないから」
 そう言うと、エーリヒは幸福そうに笑う。
 この笑顔を守るためなら、きっと何でもできるだろう。

 それから平和になった森を散策し、他に魔物がいないか確かめる。
 あの熊に似た魔物が驚異だったらしく、魔物どころか、小動物の姿もなかった。
 でも元凶の魔物は退治されたので、これからもとの平和な森にもどっていくに違いない。
 開けた場所に出たので、ここで持参したお弁当を食べることにする。
 特別依頼を果たしたあとなのに、呑気すぎるのではと思うが、もう驚異は去ったあとだ。
 普段は食の細いエーリヒも、クロエの作ったものは何でも食べてくれる。
 緑に囲まれてゆったりとした時間を過ごしたあと、町に戻った。
「ギルドに報告に行ってくる。クロエは宿で休んでいて」
 魔法の失敗のせいで、魔力を使い過ぎたことを心配してくれるようだ。
 たしかにあのときは、少し指先が冷えるような感覚があったが、今はもう回復している。
(以前も、魔石作りに夢中になったせいで、魔力の使い過ぎで倒れそうになったことがあったけど……)
 あのときよりも、回復が早くなった気がする。
 むしろ魔力よりも先に、体力が尽きたような感じだった。
 でも、エーリヒに心配をかけないように、先に宿に戻ることにした。
 部屋に戻り、着替えをして、ベッドに転がる。
(単独で特別依頼になるくらいの魔物を倒したんだから、冒険者としてのエーリヒの評価も上がるはず)