婚約破棄されたので、好きにすることにした。王城編

 エーリヒは行く先々でサージェに関する情報収集をしている様子だったが、あまり成果は得られなかった様子だ。
 それでも常にギルドでも行方を追っているようなので、何かわかったらすぐに連絡してくれるようだ。
 買い物が終わったあとは、町で食事をすることにした。
 店はクロエが選んだ。
 おしゃれな店もあったが、ここは地元の人間が通うような、隠れた名店がいい。
 そう思って町の人たちに聞き込みをした結果、泊まっている宿の食事よりも美味しい店を見つけることができた。
 クロエは大満足だったが、きっとエーリヒはいつも以上に目立っていたことだろう。
 宿に戻ったあと、エーリヒは再び出かけて行った。
 クロエを連れてはいけない、少し危険な場所に情報収集に行くらしい。
 心配だったが、そういった場所にこそ、情報は集まるようだ。
 いつも通り、無事に帰ってくるように祈りを込めて送り出し、クロエは明日の弁当を準備する。
 部屋に簡単なキッチンは備え付けられていたので、アイテムボックスから調理器具と食材を出して、下ごしらえをする。
 出かける寸前に、おにぎりとサンドイッチ、どちらがいいか聞いたところ、エーリヒはおにぎりがいいらしい。
 すっかり日本食に馴染んでしまったようだ。
(そういえば以前、梅干しも仕込んでおいたのよね。どうなったかな?)
 前世で祖母に聞いた方法を思い出しながら作ってみたが、なかなか上手にできていた。
 はちみつを入れているので酸っぱすぎず、しかも甘すぎない絶妙な味加減だ。
(さすが、おばあちゃんのレシピ)
 少しだけ、前世の家族が懐かしくなる。