「俺も、早くクロエと結婚したいと思っている。あの夜会で、クロエのことを狙っている男が何人もいた。移民だと思われていても、クロエは綺麗で、しかも魔導師だ。さらに今は、マードレット公爵令嬢でもある。庶子でしかない俺との婚約など、些細なものだと思っているだろう」
「私はエーリヒとしか結婚しないわ」
「俺もそうだ。クロエ以外の女など、必要ない」
「エ、エーリヒ……」
愛しそうにそう言われたあと、そっと額にキスをされて、クロエは真っ赤になって狼狽えた。
「そんなクロエの初心な反応に、エーリヒは目を細める。
「愛している。俺には、クロエだけだ」
「……うん。私も」
前世も今も、ほとんど男性と縁がなかったクロエには、そう返すのが精一杯だった。
でも、こうして寄り添っているだけで幸せを感じている。
ふたりだけの、静かな空間。
穏やかで優しい時間が流れていく。
王都で暮らしていたときのように、ふたりだけでまったりと過ごしていると、クロエの部屋に義姉となったアリーシャが訪ねてきた。
「突然、ごめんなさいね」
「いいえ。どうぞこちらへ」
クロエは彼女を部屋に通して、向かい合わせに座る。
エーリヒの部屋はクロエの隣にあるが、彼は寝るとき以外、ほとんどクロエの部屋にいる。
婚約者同士なのだからと、マードレット公爵家でも、それを容認してくれていた。
今日もエーリヒがいることを確認したアリーシャは、そんなふたりを微笑ましそうに見つめたあと、表情を改める。
「実は、ふたりに聞いてほしい話があるの」
「話、ですか?」
「私はエーリヒとしか結婚しないわ」
「俺もそうだ。クロエ以外の女など、必要ない」
「エ、エーリヒ……」
愛しそうにそう言われたあと、そっと額にキスをされて、クロエは真っ赤になって狼狽えた。
「そんなクロエの初心な反応に、エーリヒは目を細める。
「愛している。俺には、クロエだけだ」
「……うん。私も」
前世も今も、ほとんど男性と縁がなかったクロエには、そう返すのが精一杯だった。
でも、こうして寄り添っているだけで幸せを感じている。
ふたりだけの、静かな空間。
穏やかで優しい時間が流れていく。
王都で暮らしていたときのように、ふたりだけでまったりと過ごしていると、クロエの部屋に義姉となったアリーシャが訪ねてきた。
「突然、ごめんなさいね」
「いいえ。どうぞこちらへ」
クロエは彼女を部屋に通して、向かい合わせに座る。
エーリヒの部屋はクロエの隣にあるが、彼は寝るとき以外、ほとんどクロエの部屋にいる。
婚約者同士なのだからと、マードレット公爵家でも、それを容認してくれていた。
今日もエーリヒがいることを確認したアリーシャは、そんなふたりを微笑ましそうに見つめたあと、表情を改める。
「実は、ふたりに聞いてほしい話があるの」
「話、ですか?」


