婚約破棄されたので、好きにすることにした。王城編

 そう言うエーリヒは、うんざりした顔をしていなかったので、この町のギルドでは、女性に絡まれたりしなかったのだろう。
 この町には魔法ギルドがないので、そもそも女性の冒険者は少なかったのかもしれない。
「王都に近い町だから、人の出入りもそれなりにあって、なかなか有力な情報は掴めなかった。ただ、ここを通ったのは間違いない。しばらくこの町に滞在して、情報収集しようと思う」
「うん、わかった」
 クロエは頷いた。
 国籍を失い、指名手配犯となってしまったサージェは、身を潜めているだろうから、そう簡単には手がかりは見つからないかもしれない。
 それでも、せめて向かった方角くらいはわからないと、探すのも大変だ。
「あと、魔物退治の依頼が殺到しているらしく、何件か引き受けてきた。クロエも一緒に行くか?」
「もちろん行く!」
 事前に話し合っていたように、エーリヒは依頼を受けてきていた。だからクロエは、意気込んで頷く。
「エーリヒのために、頑張るからね」
 依頼を受けたのはエーリヒなので、クロエが魔法で倒したとしても、彼の手柄となる。
(私は魔女だし、魔力量は問題ないはず。イメージトレーニングもしっかりやったし、きっと大丈夫)
 魔女の力に目覚めたばかりの頃、クロエは簡単に願いが叶ってしまうことが恐ろしくて、自分の中の力を封印した。
 扉を閉めるようなイメージで、そのクロエ自身が持っているので、いつでも開けられる。
 それから、魔石作りで魔力を操る経験を積んで、自身の魔力を少しずつコントロールすることができるようになった。
 だから今は、その鍵は開けている。
 あと必要なのは、経験だけ。