「王都にもたくさんあるぞ。地方貴族が王都に行く際に、利用するようだ。それに貴族であれば王都の出入りは自由だから、地方に静養に行ったり観光に行ったりもするらしい」
「そうなんだ……」
王都に邸宅を持つ貴族は、地方貴族を下に見ていて、あまり交流もない。
だから地方から来た貴族には王都に泊めてくれるような知り合いがいるはずもなく、王城に泊まれる身分でもない。
だから、貴族専用の宿が必要となるのだ。
最上位の貴族の中でも、身分によってまた差別がある。
その上、かつてのクロエのように、高位貴族に生まれたとしても、女性であるというだけで、自由のない生活を強いられている者もいる。
(以前のクロエのように、生まれてからずっとそんな環境だったら、不公平だと思うこともないのかな)
「クロエ、どうした?」
宿を見上げたまま動かないクロエに、エーリヒが心配そうに声を掛けてくれる。
「ううん、何でもない。宿に入ろう?」
そう言って、建物の中に入った。
アリーシャが手配してくれた馬車は、ここで王都に戻ることになっている。
これからは、ふたりで旅をしなくてはならない。
入ってすぐにカウンターがあり、揃いの制服を着た女性が、深々と頭を下げる。
内装も豪華で、床には柔らかな絨毯が敷かれていた。
(うわぁ、高級ホテルみたい……)
受付の女性も、人目を引く容貌のエーリヒを見ても、移民だとわかる黒髪のクロエを見ても、態度がまったく変わらない。
もしこれが普通の冒険者用の宿だったら、エーリヒを見て騒ぐ女性や、移民に見えるクロエを蔑む者もいたかもしれない。
「そうなんだ……」
王都に邸宅を持つ貴族は、地方貴族を下に見ていて、あまり交流もない。
だから地方から来た貴族には王都に泊めてくれるような知り合いがいるはずもなく、王城に泊まれる身分でもない。
だから、貴族専用の宿が必要となるのだ。
最上位の貴族の中でも、身分によってまた差別がある。
その上、かつてのクロエのように、高位貴族に生まれたとしても、女性であるというだけで、自由のない生活を強いられている者もいる。
(以前のクロエのように、生まれてからずっとそんな環境だったら、不公平だと思うこともないのかな)
「クロエ、どうした?」
宿を見上げたまま動かないクロエに、エーリヒが心配そうに声を掛けてくれる。
「ううん、何でもない。宿に入ろう?」
そう言って、建物の中に入った。
アリーシャが手配してくれた馬車は、ここで王都に戻ることになっている。
これからは、ふたりで旅をしなくてはならない。
入ってすぐにカウンターがあり、揃いの制服を着た女性が、深々と頭を下げる。
内装も豪華で、床には柔らかな絨毯が敷かれていた。
(うわぁ、高級ホテルみたい……)
受付の女性も、人目を引く容貌のエーリヒを見ても、移民だとわかる黒髪のクロエを見ても、態度がまったく変わらない。
もしこれが普通の冒険者用の宿だったら、エーリヒを見て騒ぐ女性や、移民に見えるクロエを蔑む者もいたかもしれない。


