婚約破棄されたので、好きにすることにした。王城編

 マードレット公爵からも許可が出たので、さっそくエーリヒがギルドに向かい、特別依頼の説明を受けてきてくれた。
 特別依頼を受けると言ったら、ギルド員には本気で感謝されたらしい。
 ギルドとしても、サージェのことは何とかしたいが、相手はギルドの正職員にまでなった魔導師。
 依頼を引き受けてくれる者がいなくて、困っていたようだ。
 さらにエーリヒはクロエを守るために依頼を受けると言ったらしく、美貌の元騎士と貴族令嬢になった移民の話は、町中の噂になっている。
 そうアリーシャが教えてくれた。
(恥ずかしい……。でも、嬉しいかも)
 しかも最近は城下だけではなく、貴族達の中でもふたりのことは密かに噂になっていると聞く。
 エーリヒが王女のお気に入りであることは広く知られているが、エーリヒはその王女から逃げ出して、移民の女性と真実の愛を貫いた。
 その噂が広まり、その上でエーリヒが見事サージェを捕縛すれば、彼の評判はますます上がっていくに違いない。
 貴族の中でもその真実の愛に感動する者がいるらしく、もしかしたら移民に対する意識にも変化があるかもしれない。
(王女には、ますます恨まれそうだけど……)
 でもカサンドラの関心がエーリヒではなく、クロエに向いてくれたら、むしろ好都合である。
 こうして出発の準備を整えて、クロエはエーリヒと一緒に、特別依頼の達成のため、マードレット公爵邸を出た。
「王都を出るときは、公爵家の馬車に乗った方がいいわ。魔導師の逃亡があったせいで、いつもよりも出入りが厳しくなっているみたい」
 城門を守っている騎士も、殺気立っている。