婚約破棄されたので、好きにすることにした。王城編

 彼女には魔力はなかったが、魔法大国と言われるジーナシス王国に留学してまで魔法を学び、魔術師となった。
 それもすべて、婚約者である彼を守るため。
 だからアリーシャが使えるのは、魔女から身を守る魔法だけだ。でもその魔法で、今までカサンドラの悪意からジェスタを守ってきた。
 アリーシャはクロエにも、その魔法を教えてくれた。
 でもカサンドラのエーリヒへの執着があまりにも強いため、効きにくいかもしれないと、申し訳なさそうに言っていた。
 この魔法は、魔女からの注意を逸らし、関心を持たせなくする効果があるようだ。
 現にカサンドラは、兄で王太子でもあるジェスタとは、ほとんど交流がないらしい。
「ジーナシス王国には、魔女も何人かいる。そう簡単に会える相手ではないけれど、魔女に関する話を、色々と聞いて回ったわ」
 アリーシャはそう言って、その話をクロエにも聞かせてくれた。
 魔女の力にもランクがあって、この国唯一の魔女であるカサンドラは、その中でも低い方だった。
「カサンドラ王女殿下の魔法は、自分の領域でだけ、その効果がある。それは、魔女の力があまり強くないことを示している。でも彼女が王女である以上、その領域は王城全体になってしまうから、厄介だった」
 アリーシャの婚約者であるジェスタは王太子であり、その生活圏もカサンドラと同じ。
 カサンドラは、魔女の力に目覚めたばかりの頃、その力を好き勝手に使い、魔法が使えない部屋に何度も閉じ込められたという。