婚約破棄されたので、好きにすることにした。王城編

 それに、彼は禁じられている攻撃魔法を、人に向けて放った罪。
 ギルドを半壊させた罪。
 そして、王都の城門を無理やり突破した罪がある。
 彼のこれからの人生のためにも、きちんと償うべきだ。
「さすがに長期間の依頼になるだろうから、マードレット公爵家の了承が必要だ。それを得てからギルドに行って、詳しい説明を聞いてこようと思う」
「うん」
 王都を離れるなら、王女と顔を合わせることもないだろう。
 もちろん、このまま逃げ回るつもりはない。でも今のクロエはまだ、魔女の力を使い慣れた王女カサンドラには敵わないかもしれない。
 だからサージェを探しながら、魔物退治などの依頼もこなして積極的に魔法を使う。そして自分の力を完全にコントロールできるようになってから、王都に戻りたいと思っている。
 アリーシャに説明するときにも、それをきちんと話した。
 エーリヒのギルドでの評価を上げるため。そして、クロエの魔法の修行のために、この特別依頼を受けるのが最適であると思ったこと。
「もちろん、魔石もたくさん在庫があるので、すべてお渡しします」
 アリーシャがクロエを義妹にしたのも、婚約者のジェスタを魔女であるカサンドラから守るために、質の良い魔石が大量に必要だからだ。
 予備としてマジックボックスに入れておいた魔石を机の上に置くと、彼女は安堵したように表情を緩めた。
「こんなにたくさん……。これだけあれば、一年は大丈夫だわ。ありがとう」
 魔石さえあれば、アリーシャは自分で王太子ジェスタを守れる。