「だから、エーリヒと一緒じゃないなら、全部意味のないことだから」
きっぱりとそう告げると、エーリヒは、見慣れてきたクロエでも直視できないような、神々しいほど美しい笑みを浮かべる。
「……うん。俺も、クロエと一緒に生きるためなら、何だってできる。誰にも負ける気がしない。クロエの隣に相応しいと言われるまで、自分の価値を上げてみせる」
その眩しいほどの笑顔を見つめながら、クロエは王女カサンドラのことを思う。
彼女はエーリヒの笑顔が、見ているだけで自分まで幸せになるほど綺麗なことを知らないだろう。
人形のような無表情なエーリヒは、本当の彼ではない。
(そんな人に、エーリヒは渡さないから!)
今は国王によって、魔力を封じる塔に閉じ込められている王女だが、そのうち出てくるだろう。そう簡単にエーリヒを諦めるとは思えない。
本場の魔女と比べると、彼女の力は弱いらしいが、クロエは自分の力がどの程度であるかさえ、まだ知らない。
それでも、負けるつもりはなかった。
「こうなったらこの身分証を利用して、依頼を受けまくって強くならないと」
そう言って腕を掲げると、エーリヒもクロエと同じように、銀に煌めく腕輪を見上げる。
「そうだな。明日、早速ギルドに行って、依頼を受けてくる」
「うん。頑張ろうね!」
そう誓い合った。
翌日。
エーリヒはひとりでギルドに向かった。
本当はクロエも同行したかったけれど、今はマードレット公爵家の養女である。
気軽に出かけるわけにはいかず、今まで移民の冒険者だったのに、急に従者を連れて馬車で行くのも気まずい。
きっぱりとそう告げると、エーリヒは、見慣れてきたクロエでも直視できないような、神々しいほど美しい笑みを浮かべる。
「……うん。俺も、クロエと一緒に生きるためなら、何だってできる。誰にも負ける気がしない。クロエの隣に相応しいと言われるまで、自分の価値を上げてみせる」
その眩しいほどの笑顔を見つめながら、クロエは王女カサンドラのことを思う。
彼女はエーリヒの笑顔が、見ているだけで自分まで幸せになるほど綺麗なことを知らないだろう。
人形のような無表情なエーリヒは、本当の彼ではない。
(そんな人に、エーリヒは渡さないから!)
今は国王によって、魔力を封じる塔に閉じ込められている王女だが、そのうち出てくるだろう。そう簡単にエーリヒを諦めるとは思えない。
本場の魔女と比べると、彼女の力は弱いらしいが、クロエは自分の力がどの程度であるかさえ、まだ知らない。
それでも、負けるつもりはなかった。
「こうなったらこの身分証を利用して、依頼を受けまくって強くならないと」
そう言って腕を掲げると、エーリヒもクロエと同じように、銀に煌めく腕輪を見上げる。
「そうだな。明日、早速ギルドに行って、依頼を受けてくる」
「うん。頑張ろうね!」
そう誓い合った。
翌日。
エーリヒはひとりでギルドに向かった。
本当はクロエも同行したかったけれど、今はマードレット公爵家の養女である。
気軽に出かけるわけにはいかず、今まで移民の冒険者だったのに、急に従者を連れて馬車で行くのも気まずい。


