だからこそ、自分の手で冒険者として名を上げて、たとえ貴族でも粗末に扱えない存在になろうとしているのだ。
「町で暮らしていた頃は、クロエの魔法に助けられることが多かった。もともと、俺が王城から逃げ出せたのも、魔法の力に目覚めたクロエに便乗したからだ。だから今度こそ、クロエを守れるように強くなってみせる」
彼の強い決意はすべて、クロエのため。
でも、それがかえって不安になってしまう。
傷や痛みもすべて隠して、ひとりで何もかも抱えてしまうのではないか。
自分を犠牲にしてまで、守ろうとしてくれるのではないかと。
「エーリヒ。私はお姫様じゃないの」
だからクロエも、自分の思っていることをすべて、彼に伝える。
「当然だ。クロエを、王女と一緒だと思ったことはない」
「あ、違うのよ」
例えが悪かったと、慌てて否定する。
「お姫様って、王女殿下のことじゃなくて……。以前のクロエのような、生粋の貴族のお嬢様じゃないのよ。ある程度のことは自分で出来るし、これから魔法をしっかりと覚えて、戦えるようにもなるつもり」
エーリヒの気持ちは嬉しいけれど、ただ守ってほしいわけではない。
「最初に、相棒になろうって言ったでしょう? 私はこれから夫婦になっても、互いに支え合いたい。ひとりがピンチになったらもうひとりが助けるような、そんな関係になりたいの」
そう熱弁したクロエは、急に恥ずかしくなって、エーリヒから離れようとする。
「ごめんね、急に。ただ、私のわがままでここに戻ってきてしまったから」
「わがままなどではないよ。クロエは昔から優しかった」
「町で暮らしていた頃は、クロエの魔法に助けられることが多かった。もともと、俺が王城から逃げ出せたのも、魔法の力に目覚めたクロエに便乗したからだ。だから今度こそ、クロエを守れるように強くなってみせる」
彼の強い決意はすべて、クロエのため。
でも、それがかえって不安になってしまう。
傷や痛みもすべて隠して、ひとりで何もかも抱えてしまうのではないか。
自分を犠牲にしてまで、守ろうとしてくれるのではないかと。
「エーリヒ。私はお姫様じゃないの」
だからクロエも、自分の思っていることをすべて、彼に伝える。
「当然だ。クロエを、王女と一緒だと思ったことはない」
「あ、違うのよ」
例えが悪かったと、慌てて否定する。
「お姫様って、王女殿下のことじゃなくて……。以前のクロエのような、生粋の貴族のお嬢様じゃないのよ。ある程度のことは自分で出来るし、これから魔法をしっかりと覚えて、戦えるようにもなるつもり」
エーリヒの気持ちは嬉しいけれど、ただ守ってほしいわけではない。
「最初に、相棒になろうって言ったでしょう? 私はこれから夫婦になっても、互いに支え合いたい。ひとりがピンチになったらもうひとりが助けるような、そんな関係になりたいの」
そう熱弁したクロエは、急に恥ずかしくなって、エーリヒから離れようとする。
「ごめんね、急に。ただ、私のわがままでここに戻ってきてしまったから」
「わがままなどではないよ。クロエは昔から優しかった」


