(貴族の中でもまた、厳しい身分差があるのね)
そんな国で、王太子ジェスタやアリーシャのような最上位の身分の人たちが、この国を変えるために立ち上がってくれた。
素晴らしいことだが、貴族たちの反発も激しいだろう。道のりはかなり険しいものとなる。
(これ、どうやって外すのかな?)
気になって色々と調べてみると、目立たないところに小さな鍵穴があった。専用の鍵がないと外せないらしく、盗難の心配もないようだ。
鍵は当主が保管しているらしいから、クロエの鍵はマードレット公爵が、後見人となったエーリヒのものとも合わせて、持っているのだろう。
クロエの腕輪は、金細工に鮮やかな緑色の宝石。
エーリヒのものは、銀細工に青い宝石が飾られている。
「まさか、こんなに早く用意してくれるなんて」
貴族ではなく、移民のクロエにここまでしてくれるのだ。魔石のためかもしれないが、その覚悟は本物だと信じることができる。
クロエはそう思っていたが、エーリヒはまだ警戒している様子である。
彼は腕輪を見つめながら、静かに考え込んでいた。
「アリーシャさんは、信じても大丈夫だと思うよ」
だから、そう声を掛けた。
けれどエーリヒの答えは、意外なものだった。
「たしかに、彼女は今までの貴族たちとは違うのかもしれない。だからこそ、信用できない」
「え?」
それは、どういう意味なのか。
首を傾げるクロエの手を取って、エーリヒは自分の方に引き寄せた。
逆らわずに、素直に身を任せる。
「俺は、クロエを守るためなら、たとえ誰であろうと戦うつもりだ。手段を選ぶつもりもない」
「……うん。私だってそうだよ」
そんな国で、王太子ジェスタやアリーシャのような最上位の身分の人たちが、この国を変えるために立ち上がってくれた。
素晴らしいことだが、貴族たちの反発も激しいだろう。道のりはかなり険しいものとなる。
(これ、どうやって外すのかな?)
気になって色々と調べてみると、目立たないところに小さな鍵穴があった。専用の鍵がないと外せないらしく、盗難の心配もないようだ。
鍵は当主が保管しているらしいから、クロエの鍵はマードレット公爵が、後見人となったエーリヒのものとも合わせて、持っているのだろう。
クロエの腕輪は、金細工に鮮やかな緑色の宝石。
エーリヒのものは、銀細工に青い宝石が飾られている。
「まさか、こんなに早く用意してくれるなんて」
貴族ではなく、移民のクロエにここまでしてくれるのだ。魔石のためかもしれないが、その覚悟は本物だと信じることができる。
クロエはそう思っていたが、エーリヒはまだ警戒している様子である。
彼は腕輪を見つめながら、静かに考え込んでいた。
「アリーシャさんは、信じても大丈夫だと思うよ」
だから、そう声を掛けた。
けれどエーリヒの答えは、意外なものだった。
「たしかに、彼女は今までの貴族たちとは違うのかもしれない。だからこそ、信用できない」
「え?」
それは、どういう意味なのか。
首を傾げるクロエの手を取って、エーリヒは自分の方に引き寄せた。
逆らわずに、素直に身を任せる。
「俺は、クロエを守るためなら、たとえ誰であろうと戦うつもりだ。手段を選ぶつもりもない」
「……うん。私だってそうだよ」


