婚約破棄されたので、好きにすることにした。王城編

 エーリヒに手を取られて、クロエも会場の真ん中に歩いていく。
 練習したので、エーリヒもなかなか様になっている。
 むしろエーリヒの容貌なら、何をしてもそれなりに見えるだろう。
(ダンスが楽しいと思ったなんて、エーリヒと踊ってからだわ)
 エーリヒにリードされながら、クロエは微笑む。
 キリフとは婚約者として何回か踊ったことがあったと思うが、あまりよく思い出せない。きっと記憶に残るほどのことではなかったのだろう。

 その後は何事もなく、パーティは無事に終わった。
 アダナーニ王国の王族が、ふたりも離脱したこと。
 そして、この国に生まれていた本物の魔女の死と、騎士団長であったメルティガル侯爵の身分剥奪と追放は、これから大きな話題になっていくだろう。
 さすがにアリーシャも疲れ果てた顔をしていたが、カサンドラとキリフがいなくなったことで、王太子であるジェスタの地位は不動のものとなった。
 これからは、国内の改革に力を注げるだろう。
 この国の意識改革が、クロエの使命である。
 これからも、アリーシャとジェスタに協力するつもりだ。

 リーノは病気を治す魔法の研究のため、しばらくこの国に滞在することになった。
 子どもの姿になったリーノを見たアリーシャは驚いていたが、この方が可愛いからと言うリーノに同意し、可愛い子ども服をたくさん取り寄せて、リーノとふたりでファッションショーを楽しんでいる。
 アリーシャも可愛いものが好きらしく、ふたりはすっかり意気投合してしまった。
 そしてリーノはときどき王都のスラムに行き、病気の人たちに魔法を使っているようだ。