婚約破棄されたので、好きにすることにした。王城編

「なぜ、俺が助けると思える?」
「え……」
 エーリヒの憎悪しか感じさせない声と表情に、カサンドラが怯む。
 彼女は本気で、エーリヒが助けてくれると信じていたのだろうか。
「どうして……」
 その隙に、クロエは扉を完成させた。
(あとは、扉を閉めて……)
 魔力がほとんどなくなってしまったのがわかるのか、カサンドラは悲鳴を上げてその場に突っ伏した。
「嫌よ、私の魔力が……」
 泣き叫ぶカサンドラに、誰も駆け寄らない。
 少し哀れに思うが、今までの結果が返ってきただけだ。
 完全に扉を閉じて、固く鍵を閉める。
 これでもう、カサンドラは魔法を使うことができない。
 リーノを見ると、彼女は小さく頷いた。
「あなたは魔女ではないのに、魔女のように力を使うから、こんなことになってしまったのよ。王城のパーティ会場で、こんな騒ぎを起こして暴れるなんて」
 呆れたようなリーノの言葉に、ざわめきが広がる。
 今までこの国唯一の魔女として、わがまま放題に振る舞ってきた王女が、その魔力を失い、しかもジーナシス王国の魔女によって、魔女ではないと宣言されてしまったのだ。
「カサンドラの魔力は、戻るのだろうか」
 アダナーニ国王が震える声で問いかけたが、リーノは首を横に振る。
「いいえ。こんなに無茶な魔法を使って急激に失ってしまったら、もう戻ることはないでしょう」
 国王は動揺していたが、さすがに歓迎パーティだということは忘れていなかったらしい。
 カサンドラを連れ出させ、こんな騒ぎになってしまったことをリーノに謝罪した。
「クロエ、大丈夫か」
 やり遂げたことで、少しぼうっとしてしまったらしい。