婚約破棄されたので、好きにすることにした。王城編

「魔女とは、私の妹のカサンドラのことでしょうか?」
 アダナーニ王国の王子、王女たちは、全員母親が違っている。
 だからジェスタも、クロエの元婚約者のキリフとはまったく似ていない。共通しているのは、金髪であることくらいだ。
「いいえ。彼女はジーナシス王国の定義で言うと、魔女ではありません」
「……魔女では、ない?」
 さすがに驚いたらしく、ジェスタは隣にいるアリーシャと顔を見合わせている。
「ですが妹は、魔女の力を持っています」
「願い事を叶える力を持っている。そう聞いています。でも、彼女は魔女の定義を満たしていない」
 リーノはそう言って、自らの髪に触れた。
 美しい白金の髪が、さらりと流れた。
「魔女は必ず、この髪色で生まれます。ですが、カサンドラ王女は金色の髪だと聞きました。でも魔女に近い力を持っているから、他の国で魔女と名乗るのは自由かもしれません。でも、残念ながらジーナシス王国では魔女だと認められません」
「……」
「……」
 ジェスタとアリーシャは無言のまま、互いに見つめ合っている。
 最大の敵だと思っていたカサンドラが、たいしたことがない存在だと言われ、しかも魔女でもないと言われて、どうしたらいいのかわからないのだろう。
「では、妹のことではないのなら、何をお聞きしたいのですか?」
 そうジェスタに問われて、リーノは悲しそうな顔をする。
「この国には、魔女が生まれていました。カサンドラ王女とは違う、ジーナシス王国も認め本物の魔女です」
「それは……」
 ジェスタとアリーシャの瞳が期待に輝く。