婚約破棄されたので、好きにすることにした。王城編

「すぐに王城に行くわ。その間、彼女をよろしくね」
 アリーシャはそう言うと、慌てた様子で王都に向かった。
 きっと帰りには、ジェスタを連れてきているのだろう。
 クロエとエーリヒも一度それぞれの部屋に戻り、着替えをしてから、リーノがいる客間に向かう。
 リーノは身なりを整え、きちんとしたドレスに着替えていた。
「さすがに王太子殿下に会うのだから、ちゃんとしないとね」
 ドレスはシンプルなデザインだが、素材は最高級なのがわかる。それがかえってリーノの美貌を引き立てていた。
「とても綺麗です」
 感動してそう言うと、リーノは照れたように笑った。
「ありがとう。これから王太子殿下にする話は、あなたの家族を窮地に追い詰めるかもしれない。それでも大丈夫?」
「……」
 クロエはすぐに返事ができなかったが、代わりにエーリヒが答える。
「もちろんだ。クロエを傷付けた報いは、必ず受けてもらう」
「そうね。あれだけ酷いことをしておいて、本人たちは何も変わらず過ごしているのは許せないわ。もちろん過剰な報復はしないけれど、自分たちがやったことを反省して欲しいのよ」
 クロエとしては、もう関わらないのではあれば、それでいいと思っていた。
 でもリーノとエーリヒに説得され、過剰なことはしないのなら、と今は納得している。
 やがてアリーシャが王太子のジェスタを連れて戻ってきた。
 クロエとエーリヒも、彼女と一緒に先ほどよりも広い客間に案内され、ジェスタとリーノが挨拶を交わす様子を見つめていた。
「私が王都に来たのは、魔女についてお聞きしたいことがあったからです」