もう一度登録することも可能らしいが、サージェの件で少しギルドに不信感を持ってしまったので、今は保留にしている。
サージェは移民ではあるが魔導師で、実力で国籍を得て、ギルドの正職員にまでなった。
けれど、同じ移民の外見で魔導師のクロエに執着して、エーリヒを敵視した。
最後にはギルドの建物を半壊させ、人に魔法を放った罪で捕まり、苦労して得た国籍も、ギルドの正職員という職も失ってしまったのだ。
(ギルドに所属しなくても、エーリヒの依頼にサポートとして同行するのは、アリよね。そうやって個人的に、雑用係や戦闘補助員を雇う冒険者もいるらしいし)
ふたりで、王都の外に出かけられる。
それが嬉しくて、ついエーリヒの腕に抱きつく。
「やっと外に出られるね」
「そうだな。一緒に行こうか」
そう言ったエーリヒの顔が優しくて、クロエはほっとする。
王都の外で、ふたりきりなら、エーリヒも以前のように笑ってくれるだろう。
この国を変えようとしている王太子ジェスタと、その婚約者であるアリーシャの手助けをしたい。
そう思って貴族社会に戻ったことを、後悔はしていない。
それでもエーリヒの笑顔が少なくなったのは、やはり気掛かりだった。
クロエが自分を認識できなくなる魔法を掛けたように、エーリヒにもそれをしようと思ったことはある。
でも、最初から別人になりすましていたクロエと違って、エーリヒは元騎士であることを隠していなかった。彼の父であるアウラー公爵や、クロエの父程度なら、それでも騙せたかもしれないが、向こうにはクロエよりも力を使い慣れている、魔女のカサンドラがいる。
サージェは移民ではあるが魔導師で、実力で国籍を得て、ギルドの正職員にまでなった。
けれど、同じ移民の外見で魔導師のクロエに執着して、エーリヒを敵視した。
最後にはギルドの建物を半壊させ、人に魔法を放った罪で捕まり、苦労して得た国籍も、ギルドの正職員という職も失ってしまったのだ。
(ギルドに所属しなくても、エーリヒの依頼にサポートとして同行するのは、アリよね。そうやって個人的に、雑用係や戦闘補助員を雇う冒険者もいるらしいし)
ふたりで、王都の外に出かけられる。
それが嬉しくて、ついエーリヒの腕に抱きつく。
「やっと外に出られるね」
「そうだな。一緒に行こうか」
そう言ったエーリヒの顔が優しくて、クロエはほっとする。
王都の外で、ふたりきりなら、エーリヒも以前のように笑ってくれるだろう。
この国を変えようとしている王太子ジェスタと、その婚約者であるアリーシャの手助けをしたい。
そう思って貴族社会に戻ったことを、後悔はしていない。
それでもエーリヒの笑顔が少なくなったのは、やはり気掛かりだった。
クロエが自分を認識できなくなる魔法を掛けたように、エーリヒにもそれをしようと思ったことはある。
でも、最初から別人になりすましていたクロエと違って、エーリヒは元騎士であることを隠していなかった。彼の父であるアウラー公爵や、クロエの父程度なら、それでも騙せたかもしれないが、向こうにはクロエよりも力を使い慣れている、魔女のカサンドラがいる。


