婚約破棄されたので、好きにすることにした。王城編

「ありがとうございます。お言葉に甘えて、休ませていただきます」
 そしてリーノを案内するためにアリーシャの指示でやってきたのは、公爵家の侍女の中でもベテランの者だった。
 リーノが侍女に連れられて立ち去ったあと、アリーシャは戸惑ったようにクロエを見る。
「何があったの?」
「実は、旅の途中で……」
 クロエは町を移動しようと歩いている最中に、倒れている彼女を見つけて看病したことを話した。
 その話のついでに、移民の立ち入りを拒む町。そして、この国で生まれた移民たちの子孫が集まる集落について、簡単に説明する。
「そんなことがあったの。まだまだ地方まで手が回らなくて、教えてくれて助かるわ。それに、まさかジーナシス王国の魔女を連れてきてくれるなんて」
「私も驚きました。リーノさんは魔法の研究のために、各国を回っているそうです」
 あんなところで魔女に出会うとは思わず、驚いたのはクロエも一緒だ。
「それで、王都に来た彼女の目的は、何かしら?」
「私もよくわかりません。ただ、魔女に関することだと話していました」
 馬車の中で打ち合わせをした通りに、そう答える。
「魔女……。カサンドラ王女殿下かしら」
「そうかもしれません」
 クロエの返答に、アリーシャはしばらく考え込んでいた。
「私はこのことを、ジェスタ様に報告してきます。もしジェスタ様が会いたいと言ったら、彼女は受け入れてくれるかしら?」
 アリーシャの婚約者である王太子の名前に、クロエは頷いた。
「はい。大丈夫だと思います」
 リーノからは、国王と対面する前に王太子に会わせてほしいと言われていたので、ちょうど良かった。