婚約破棄されたので、好きにすることにした。王城編

 その力の特異さと希少価値から、各国で重宝されている上に、魔女は仲間意識が強い。
 ジーナシス王国の魔女であるリーノが、魔女を虐げて死なせた責任を追求するだろう。
「あなたにも、協力して貰うことがあるかもしれない」
 リーノがエーリヒにそう言うと、彼は迷うことなく頷いた。
「クロエのためなら、何でもするよ」
 何も聞かずにそう言ってくれたエーリヒに、クロエは手を握ったまま、そっと身を寄せる。
 きっと話せば、危険だと反対するかもしれない。
 でもクロエは、必ずやると決めていた。
(絶対にやり遂げて、エーリヒを王女から解放してあげるから)
 そう強く決意する。
「正式にジーナシス王国の魔女として訪問するなら、この姿は少し威厳に欠けるわね」
 リーノは溜息をついてそう言った。
「あまり戻りたくないけれど……」
 そう言った瞬間、彼女の姿が変わっていた。
 可愛らしいツインテールの幼女が、背の高い迫力のある美人になっていた。
「え?」
 あまりにも驚いて声を上げると、リーノは残念そうな顔をして言う。
「やっぱりあの頃の私が一番可愛いわ。まさか、こんなに身長が伸びてしまうとは思わなくて」
 そう言って、溜息をつく。
 馬車に乗っているのでわからないが、おそらくリーノの身長はかなり高く、エーリヒと同じくらいありそうだ。
 小柄なクロエからしてみれば、憧れの姿である。
「格好良くて、羨ましいです」
 クロエがそう言うと、リーノは悲しそうに首を横に振る。
「私は格好良いよりも、可愛いが良かったの」
 好みは人それぞれなので、こればかりは仕方のないことだろう。