婚約破棄されたので、好きにすることにした。王城編

 ふたりで話をしているうちに、ギルドに行っていたエーリヒが戻ってきた。
「魔物は、沖に出るらしい。ギルドに船を出してもらうことになったが、ギルド員以外は同乗できないと言われた」
「……そうなのね」
 少しだけ船に乗ってみたかったと思うが、一般の船ではなく、ギルドの船なので、きっとそういう規則なのだろう。
「じゃあ、先に魔法をかけておくね」
「すまない。それと、港の方にはたくさん屋台が出ているらしい。俺がいない間、ふたりで行ってきたらどうだ?」
「え?」
「屋台?」
 リーノとクロエは顔を見合わせる。
「行ってもいいの?」
「魔女がふたりなら、何があっても大丈夫だろう。ただ、絶対にはぐれないように気を付けてほしい」
「うん、わかった」
 今までエーリヒがいないときは、宿で留守番をするのが当たり前になっていた。
 でも今日はエーリヒの方から、ふたりで外に出ることを提案してくれた。
 リーノが力を完全に使いこなしている魔女であることも、その理由だろう。
 エーリヒは魔物退治に行くのに、と思うが、エーリヒはクロエが楽しく過ごしているほうが嬉しいと言っていた。ここは遠慮などせず、そうするべきだろう。
「お土産も買ってくるからね」
「ああ、楽しみにしている」
 すぐに魔物退治に向かうというエーリヒに、補助魔法をいつもよりもたくさん掛けて送り出す。
「まだ少し早いけど、港に出て海を眺めて、それから屋台に行くのはどうですか?」
 そう提案すると、リーノは喜んで承知してくれた。
「クロエさん、今日だけ髪色を元に戻してみない?」
 そう言われて、戸惑う。
「でも……」